※2024年12月3日に加筆した内容を含みます。
こんにちは。
高校コース講師の小谷野です。
今回はタイトル通り、大学入試に使える英語外部試験を比較してみましたので共有しようと思います。
英語外部試験、英語の資格試験は種類がたくさんあってよくわかりません。
結局、大学受験で活用しようと思ったらどれを受ければいいのでしょうか?
そんな疑問を持ちましたので、自分で調べました。
2021年度入試、大学入学共通テストに移行するタイミングで、大学入試における英語外部試験の活用も大きく変わる予定でした。
しかし、結果的には従来の延長線上の利用にとどまり、一気には変わりませんでしたね。
今のところは文部科学省によると、2024年度入試から新しい英語試験の仕組みを導入するらしいです。
2022年度から高校の新学習指導要領が始めるので、それが適用できる初年度からということですね。
要するに、現在の中学3年生の学年から、また共通テストの仕組み等も変わっていくものと思われます。
それまでは現行通りです。
2024年現在(2025年度入試)において、大学入試における英語外部入試の導入方法に大きく変化はないです。もちろん、外部入試を利用した入試を増やしている大学は多いですが、全受験生に必須にしている大学はほとんどありません。
大学入試における「英語」という科目の変更点で大きなことは、大学入学共通テストでの出題方式の変更でしょう。リーディングでは、エッセイの添削の問題、複数人の意見を比べる問題が出題される予定で、リスニングでも複数人の意見が講義の内容に合っているかを問う問題が出題される予定です。ただ、これも蓋を開けてみないと何とも言えません。
4技能試験というワードも声高に叫ばれるようにはなりましたが、大学入試という観点から言えば、まずはリーディングを重視するという傾向は変わらないでしょう。
また、CEFR(セファール)という新しい基準も導入されてよくわからないよ、という方も多いと思います。
よくはわからないけど、外部試験を導入している私立大学は増えています。
結局、外部試験は受けた方がいいのか、受けなくてもいいのか。
そんな疑問に対してお答えしていこうと思います
今回は、英語外部試験の主要なものである、実用英語技能検定、GTEC(ジーテック)、TEAP(ティープ)、IELTS(アイエルツ)、TOEFL(トーフル)、TOEIC(トーイック)を調べてみました。
まずは、CEFRという基準で各検定のスコアが測られるという点を理解しないといけません。
CEFRは外国語の能力を測るために欧米で主に使用される国際基準らしいです。
まあ難しく考えずに、「全部の検定を繋ぐ指標」だと思えば大丈夫でしょう。
各自それぞれ別の検定を受けてしまうと、相互に比較できないですからね。
「英検2級とTOEIC700点はどちらがすごいか」、みたいな問題が起こりますからね。
それがまとめられたのが以下の表です。
MARCH以上の難関大なら”B1″というのが一つ基準になると思います。
ざっくり言って、
●英検:最も一般的
●GTEC、TEAP:学生向け
●IELTS、TOEFL:海外留学向け
●TOEIC:国内ビジネス向け
という感じです。
あとここで押さえておいてほしいのが、大学受験での資格の使われ方です。
大きくは二つです
①試験を受けるための資格となる
例)○○大学の総合型選抜では、英検2級以上を持ってないと出願できない
②試験を受ける際の加点になる
例)□□大学の一般選抜では、英検2級を持ってると10点加点される
自分が受けたい大学が、外部試験をどのように使うのかも見ておいてください。
早速比較していきましょう。
各資格の性質を主に比較します。
①実用英語技能検定
いわゆる英検です。
最も一般的な検定ですね。
毎年300万人以上の方が受験しています。(2019年度は392万人)
特に中高生の受験が多いようです。(2019年度は全受験者の約78%が中高生だったようです)
大学受験の英語外部試験として利用されているのは、現状は圧倒的に英検です。
もちろん、他の検定も利用可能な大学は多いですが、高校生が利用している検定として最も人気が高いのが英検です。
大学受験に限らず就職やその後の人生においても資格として活用できるというのがメリットでしょう。
英検は、国内での就職で履歴書に書く英語能力の資格として最も一般的、という感じがします。
海外でのビジネスや留学には向きません。
学生の受験者が多く、ビジネスシーンや日常会話の能力の測定ではないからです。
国内での英語能力の証明には一番有効です。
2023年度には受験者数が450万人を超えたようで、中高生の受験者数割合も70%以上です。(英検IBAと英検Jr.も含めた数値)
最近では、英検S-CBT、パソコンで受験できる方式で受験する方が多い印象です。
当塾の高校生でもこの方式で受験する人が多いです。
S-CBTのメリットは、①受験日程が多い、②1日でスピーキングまで受験できる。
部活などで忙しい高校生でも都合がつく日が1日あれば受験可能です。
従来型とS-CBT型のどちらの点数や合否も同じように扱ってくれる大学が多いです。
2024年度からの出題方式の変更、2025年度からの新級の導入も大きなニュースです。
●2024年度から出題方式変更
3級以上の級で出題方式が変更されました。詳しくは英検の公式サイトを見てみてください。
ざっくりの変更点
・Reading:問題数が減少
・Writing:「要約問題」、「Eメール問題」が新設
・Listening:変更なし
・Speaking:準1級のみ「話題導入文」を追加
●2025年度から準2級プラスを新設
従来の準2級と2級の間に準2級プラスという級が新設されます。
準2級から2級までの壁が大きかったからだそうです。
②GTEC
GTECはベネッセが実施している4技能を測るための英語試験です。
大学入試での活用を前提に作られたので、全国の高校でも受けているところが多いと思います。
実際に使える英語に重きを置いての4技能試験を標榜していることが一つ特徴と言えます。
GTEC内でレベルがありますが、個人で受ける際はCBT(高2、3年生向け)というレベルでいいと思います。
スコアが幅広く出ますので。
こちらは、英検以上に学生向けという印象が今のとことろは強いと思います。
高校生が一つ基準にするのにはいい試験です。
③TEAP
TEAPは、上智大学と日本英語検定協会が共同開発した大学入試用の英語試験です。
こちらも4技能を測ることができます。
上智大学を受けたい人には必須の試験と言っていいでしょう。
またMARCHレベルの私立大学では多く採用されています。
こちらは完全に学生向けという試験です。
4技能受けた際の検定料金が高いのが少しネックかなとは思います。
ただ、関東の私立大学の利用が増えていくと予想されるので、その辺りを志望する人は受けてみてもいいかもしれないです。
2024年度をもって、CBT方式の試験の実施は終了するようです。PBT方式は引き続き実施されるようです。
④IELTS
IELTSは上記3つの試験と比べ、国際的な通用度が高い資格試験です。
イギリスやオーストラリアの教育機関が共同で運営する試験です。
大学受験用というより、海外留学する方におすすめです。
イギリスやオーストラリア、アメリカなどの高等教育機関で多く認められています。
難易度が高い試験ですが、その分だけ国際的に信用度が高いです。
長い目で見れば取っておいて損はない試験と言えます。
ただ、大学受験の際にはまだ必要ないかなと。
英語が得意で留学を考えている人が受ければいいと思います。
⑤TOEFL
TOEFLはアメリカの教育機関が運営する試験です。
英語圏での留学や研究を希望する者を対象にした試験で、アカデミックな場面での英語力が重視されます。
IELTSと同様に海外留学を目指す人におすすめな試験です。
これも大学受験用としてはレベルが高いので、無理に取る必要はないと思います。
大学生になって海外留学を考える際に受験すればいいと思います。
⑥TOEIC
TOEICは国内ビジネスでの利用が多い試験です。
大手企業では、新入社員に対してTOEICでの点数によって手当てが出たりするところもあると聞きます。
昇進などの人事評価でも基準の一つとして機能するようです。
国内でのビジネスシーンで一番わかりやすい基準がTOEICです。
大学生のうちにTOEICのスコアを取っておくのもよいでしょう。
受験の機会も多く、一番受けやすい試験でもあります。
学生向けというよりは大人向けなので、大学受験用には無理に取らなくてもよい気がします。
まとめ
ここまで、非常にざっくりと各試験を比較しました。
各試験の特徴を私見も交えて比較したので、参考にしていただければと思います。
もっと詳しく比較したい人は、下記の記事がおすすめです。
【違いを比較】英検®️/TOEIC/GTEC/IELTS/TEAP/TOEFL iBT/ケンブリッジ英検
高校生に向けた個人的なアドバイスとしては、まずは英検を基準にすればいいと思います。
級が分かれていて、目標を持ちやすいしレベル感が分かりやすいです。
大学受験でもっとも汎用的に使えるのも英検です。
英検2級を高校卒業までに取るというのが一つの基準になります。
大学生になったら、自分の志望に合わせて、国内の就活用であればTOEIC、海外留学を視野に入れているのであればIELTSやTOEFLを受験すればいいのかなと思います。
TEAPやGTECに関しては、今後の各大学における活用のされ方を調べてから、必要があれば受けるという形でいいと思います。