ノーベル物理学賞を語る

どうも。講師の”知ったか講座”の時間です。
今日は自分の好きな分野を語ります。
テーマは「ノーベル物理学賞」!!!
自分は文学部卒のバリバリ文系ですが、理系の理論は大好きです。
なので、今回は今年のノーベル物理学について知ったかぶって語ります。

今年のテーマは「宇宙」でしたね。
特に「ブラックホール」。
最近の傾向としては珍しいですが、2年連続で宇宙関係の受賞でした。
素人的には宇宙関係の方がロマンがあるので好きです。

まず、一人目の受賞者はロジャー・ペンローズさん。
ペンローズの階段やペンローズの三角形で知られてます。
不可能図形ってやつですね。
きっと皆さん見たことはあるやつです↓

wikipedia参照

錯視でもよく取り上げられますが、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』でも有名になりましたね。
ただ、今回の受賞理由からすると、『インターステラー』の方が関係が深いです。
なんせ宇宙のお話なので。
(余談ですが、『インセプション』も『インターステラー』もめちゃめちゃ面白いのでおすすめです。
そして公開中の『テネット』も面白い。
ノーラン監督は物理に関するお話がお好きなんですね。
特にすべて「時間とは何か」が絡んでくるのが興味深い。
人類にとって時間とは永遠のテーマでしょう。)

本題に戻ってペンローズさんは何をしたのか?
たくさん業績があり、どれが受賞理由かよくわかりませんが、一つとして挙げられるのが、
ブラックホールに特異点が存在することを証明し、アインシュタインの一般相対性理論の予見を示したこと、
だと思います。
うーん(゜-゜)、、、難しい…。

まずまず、ブラックホールとは何なのか?
それは、「凄まじく重力が強い天体」です。
もう少し詳しく言うと、恐ろしく大きい質量の天体をこの上なく小さして高密度にすると、凄まじく重力の強い天体が出来上がります。
ちなみに、地球の質量を角砂糖くらいの大きさに集約できればブラックホールになるらしいです。
でも、地球のような惑星はおそらくブラックホールにはなれません。
では、何がブラックホールになるのか?
それは、太陽のような恒星です。
恒星は質量がバリ重いのです。ここがまず重要なポイント。
それが、自分の重力に耐えられず、どんどん中心に集約されていくとブラックホールになるのです。
これを重力崩壊と言います。
こうなることで、めちゃめちゃ質量がありめちゃめちゃ重力が強い天体ができあがります。

2019年4月に撮影されたブラックホール

どれくらい重力が強いか?
なんと光さえも出てこられないくらいだそうです。
光はこの世でもっとも速度が速いとされているものですから、光が出てこられないということはこの世の何ものもその中から出てこれないということです。
落ちたら一巻の終わりです。
怖いですね…。

これでとりあえずブラックホールはわかったとして、では特異点とは何か?
特異点は英語で言うと”singularity”(シンギュラリティ)です。
AIの話でよく聞くワードですね。AIの知能が人類を超える点というやつです。
簡単に言うと、それ以上いくとヤベーよっていう地点のことです。
何がヤベーのか?
物理学でいう特異点とは、アインシュタインの一般相対性理論が成り立たない点ということです。
えっ、そんな点があっていいの?!それはヤベーじゃん。
だから特異点なのです。
でも、それは当のアインシュタインもわかっていたそうです。
一般相対性理論の結果として、それが成り立たない特異点というものが存在することが導かれる。
だから、特異点がブラックホール内に存在することを証明したことが、アインシュタインの一般相対性理論をさらに強固なものにしたのです。
逆説的ですが、面白いですねー。
そもそも、100年も前(ロケットもAIもない時代…)の理論である一般相対性理論が未だに最先端であることに驚きです。
アインシュタインはただのベロ出してるおっちゃんではないのです。
ちなみに、ブラックホールの特異点というお話が、冒頭で紹介した『インターステラー』の肝になります。

Youtube ”Announcement of the 2020 Nobel Prize in Phisics” からキャプチャー

ペンローズさんの話が長くなってしまったので、残りのお二人のお話もしましょう。
もう二人とは、ラインハルト・ゲンツェルさんとアンドレア・ゲッズさんです。
お二人もブラックホール関連です。

さっきからブラックホールの話をしてましたが、そうは言ってもすごーい遠い宇宙の話だと思ってませんでしたか?
それをほーんの少しだけ身近にしてくれたのが、ゲンツェルさんとゲッズさんです。
どういうことか?
まず我々の地球は、太陽系にあります。
これはなんとなくわかると思います。太陽を中心にして回っている惑星の一つが地球なのです。
その太陽系が属しているのが、天の川銀河という場所です。
天の川銀河が○○市、太陽系が○○区みたいな住所だと思ってください。
なんと我々の家である地球が属する天の川銀河の中心に、めちゃくそ大きいブラックホールがあるよってことが観測されました。
それを観測したのが、上記のお二人です。
自分の家が属する町の役場が実はブラックホールでしたよ、みたいな距離感だと思います。

ペンローズさんは理論屋さんですが、ゲンツェルさんとゲッズさんは実証屋さんですね。
ペンローズさんが、ブラックホールの存在に関して理論的な土台を作り、ゲンツェルさんとゲッズさんがそれを実証したといような形でしょうか。

ブラックホールや一般相対性理論の話をするとどうしても語りたくなるのが「時間」ですね。
最近も、東京スカイツリーの展望台と地上とでは時間の進み方が違うことが観測されました。
重力が強い地上の方が展望台よりも時間の進みがゆっくりなのです。
それはだいぶ驚きですよね!!!
この時間の歪みも一般相対性理論の証拠の一つです。
そうなると、時間の逆光とか、タイムマシンとか、タイムワープとか、、、夢が広がりますね。
ドラえもんの世界ですよ。

信濃毎日新聞

ブラックホールでは時間がゆっくり進むと言われますが、どれくらいゆっくりなのか気になりますね。
今飛び込めば、気づいたら数億年後なんてことがあるかも…?
そもそもブラックホールに吸い込まれてから出てくる方法はあるのか?
ブラックホールに入ったら潰れてしまうのか?
妄想が膨らみます。

長くなってしまいましたので、そろそろ終わりましょう。

高校で習う物理は難しい数式が並び暗号のようです。
なので、それに挫折してしまう人も多いと思います。(自分もそうでした…)
でも、難しい数式は気にせず、面白い理論だけをつまみ食いするのも、物理学の楽しみ方の一つです。
なるべく楽しめる領域で遊びましょう。
数式の虜になるもよし、理論の沼にはまるもよし、実証に尽力するもよし。
物理学の楽しみ方は多種多様です。

勉強は「遊び」です。
難しく考えすぎずに楽しんでしまえばいいのです。
楽しめなさそうな分野は放っておきましょう。
それが賢明です。
文系が物理を語ってもいいのです。
楽しめる分野を存分に楽しんでください。

おまけ:
さらに詳しく学びたい人は、Youtubeの『予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」』というチャンネルがおすすめです。

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