現代文って何を勉強すればいいの…?

「現代文ってどうやって勉強すればいいんですか?」
そんな質問をよく生徒から受けます。
日本語だから普通に生きてればできるようになる!
と思いつつも、実はそんな甘い科目でもないですよね。
自分も現代文が一番苦手だったのでよくわかります。
(と言いつつ、読書の習慣と現代文の点数には明らかに正の相関がありますので、読書はおすすめです)

日々の日本語は話せるのに、なんで現代文では点が取れないのか?
それは、日常会話で使う日本語と、文章に書かれている日本語は別物だからです。
「いやいや、そんなわけないっしょ。どっちも同じ日本語じゃん」と思った方。甘いです。
たしかに、一見するとどちらも同じ日本語です。
しかし、会話と文章とでは言語が使われている目的が違うので、必然的にその全体像は異なります。
ここでは、主に評論文(説明的文章)と言われる文章について考えます。

どういうことか?
日常会話を思い出してみてください。
「今日電車に乗ってたら面白い人がいてさ、~」
「まじか。それはウケるね。てか、昨日のドラマ見た?主人公の○○がさ~」
「まじで来週のテストだり―わ。学校爆発してくれないかな」
なんて会話を交わしていると思います。
では、文章ではどんな日本語か。
「僕は普段からあまり一貫した思想とか定見を持たない、いい加減な人間なので、翻訳について考える場合にも、そのときの気分によって二つの対極的な考え方の間を揺れ動くことになる。楽天的な気分のときは、翻訳なんて簡単さ、たいていのものは翻訳できる、と思うのだが、悲観的な気分に落ち込んだりすると、翻訳なんてものは原理的に不可能なのだ、何かを翻訳できると考えることじたい、言語とか文学の本質を弁えない愚かな人間の迷妄ではないか、といった考えに傾いてします。」〔2019年度センター試験1⃣、『翻訳をめぐる七つの非実践的な断章』沼野充義〕
全然違いますね。知らない単語も多いし(定見、対極的、弁えない、迷妄…)、なんで急に翻訳の話が始まってんだ、という印象です。
しかし、それが現代文の文章。

ではそもそも、日常会話の日本語と、現代文の日本語は何が違うのか?
日常会話の日本語は、内容を相手に伝えようとしているだけのものです。
それに対し、現代文の日本語は、相手を説得しようとする試みなのです。
ただ言葉を並べたわけではなく、どうしても説得したい、どうしても伝えたい、と思って言葉を紡いでいるのです。
そして、説得には論理が必要です。説得するために緻密に組み上げられた論理です。
それを読み解くためには、ときには抽象的に、ときには冗長に語られる論理の流れを乗りこなす技術が必要になります。
論理の波をサーフィンするイメージです。

日常会話のような単に情報伝達を目指すような言語ではなく、相手を説得しようとする論理が重なった文章を読み解くこと。
それが求められるのが現代文です。

ではどのように勉強すればいいの?
最初の問いに逆戻りですね。

もちろん、問題集を解くもよし、教科書を音読するもよし、とにかく文章に触れるのは大事です。
色んな波に乗ってみないと、本番の大波にも乗れないですからね。
様々な文章に触れることで論理の波に乗る訓練ができます。
ただ!
もう一つ重要な要素があります。
英語で、単語や文法を学習するのと同様に、現代文にも基礎トレーニングが必要です。
それが、
①語彙の学習
②トピックの学習

①語彙の学習とは、読んで字のごとく。
キーワード集のようなもので語彙を学習するのは大事です。
なぜなら、現代文に出てくる単語は難しいです。
「絶対」・「相対」
「具体」・「抽象」
「帰納」・「演繹」
「精神」・「身体」
「秩序」・「混沌」
などなど。
きちんと意味がわかりますか?
こうした語彙が出てくるたびに驚いていては現代文は読めません。
違和感なくこれらの語句の語感が頭に浮かぶような状態が必要です。
一見難しい言葉の肌触りを感じる能力が必要なのです。

その際のコツの一つが、「対義語とセットで覚えること」です。
上記の例はあえてそうした例を揃えました。
共通テストや私大の選択肢問題も、言葉のニュアンスを知っているだけで解ける問題は山ほどあります。
語彙の学習もバカにせずに行いましょう。

そしてもう一つ重要なのが、②トピックの学習
入試によく出るテーマはある程度決まっています。
それも日常ではなじみが薄いものが多いです。だから難しい。
しかし、トピック毎に、論理の流れや最終的な結論などは、似通っているものが多いです。
なぜなら、大学入試に出てくる文章は、受験生へのメッセージだからです。
これくらいの内容の文章は理解してね、という大学からのメッセージです。
こんな文章の内容も理解できない生徒はうちの大学にはいらないということです。
そうすると、内容は似たものになってきます。
だって、大学が生徒に読解してほしい内容はだいたい決まっているのだから。
言語論、身体論、近代論、科学技術論、芸術論、権力論、文化論など。
トピックを絞ればだいたい似たような文章が多いです。

数学だってある程度は型が決まっていて、その類題が入試に出されるイメージですね。
現代文もトピック毎の語られ方を覚えておけば、初見の文章をだいぶ楽に読めます。

ざっとこんな感じが現代文の勉強法でした。
論理的な読み方みたいなものは、市販の参考書でよくまとまっているものがあるのでそちらを参照ください。
このブログでは、気が向いたら現代文の頻出トピック講座を流していきます。

ここまで読んでくれた皆様に、頭の体操として謎解きクイズを一問↓

少し簡単すぎましたか?
答えは次回の記事で

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