2022年度大学入試の変更点~早稲田・上智編

こんにちは。
高校生コース講師の小谷野です。

近年大学入試制度が目まぐるしく変化しています。
 大学入試共通テストへの移行。
 英語外部入試の導入。
 学習指導要領の改訂。
            などなど。

自分自身、大学入試をしてまだ10年も経っていないので、何となく当時のままの知識でもいいんじゃないかと過信していました。
しかし、現実そんな甘くないです。
もちろん、上記に挙げた共通テストや英語外部入試の導入の全体像くらいはわかるのですが、個別の大学の変更点となると把握しきれていない点が多々ありました…。

そこで、自分の備忘録を含め、各大学の変更点をまとめたので共有しようと思います。
今回は、有名私大に関して、共通テストの利用法、英語外部入試の導入有無などを掲載していきます。

まず調べたのは、関東の私立大学から

・早稲田大学
・上智大学

上記の大学を受験する人は参考にしてください。
他の大学も随時追加していきます。

CONTENTS

早稲田大学 「共テ利用の有無が学部ごとで大差」

早稲田は、学部ごとに入試の方式が異なります。

そこで、2022年入試の現状を表にしました。
各列の数字は、
 ①一般選抜を受ける際に共通テストが必要かどうか(〇:必須、×:不要)
 ②共通テストのみで合否判断する方式があるかどうか(〇:ある、×:ない)
 ③英語外部試験を導入しているかどうか(〇:必須、△:一部導入、×:未導入)
 ④その他の点で特徴的な事項
 ※各学部ごとに説明が必要な点もあるので後述します

学部①共テ必須②共テ利用③英語外部試験④その他備考
政経×思考力を測る学部独自試験の導入・数学ⅠAが必須化
××特になし
××一般選抜を地歴型、数学型、英語型の3パターンに分類している
教育×××特になし
文・文化構想×学部独自試験のみ・共テ併用・英語外部試験併用の3パターン、一般入試の募集定員減
社学××公民の選択不可
国際教養×英語外部試験なしでも受験は可能
理工×××特になし
人間科学××数学偏重型の入試制度がある、公民の選択不可
スポーツ科学×特になし
「2021年 早稲田大学入試要項」と大学が発表済みの「2022年度入試の変更点」を参照

まず、共通テストの受験が必須になる学部は、
政治経済学部、国際教養学部、スポーツ科学部です。
文学部、文化構想学部は、共通テスト併用型が存在します。共通テスト1科目+学部独自試験2科目(英語・国語)という形です。

共通テストの受験のみで合否が決まる方式が存在するのが、
政治経済学部、法学部、社会科学部、人間科学部、スポーツ科学部です。
こちらは、主に難関国公立受験者が併願として受けるものです。

英語外部試験を何らかの形で導入しているのが、
商学部、文学部、文化構想学部、国際教養学部です。
ここは細かく見ますね。

●商学部
一般選抜のうち、「英語4技能テスト利用型」への出願資格になるという意味合いが大きいです。(一部加点あり)
(募集人員は30人、学部全体535人のうちの5%ほど)
使える資格は英検(準1級以上)とTOEFL iBT(72以上)です。
英検1級、もしくはTOEFL iBT 95以上で5点の加点があります。
一般選抜に3つのパターン(地歴公民型、数学型、英語4技能テスト利用型)があり、併願不可なので吟味が必要です。
参考までに各型の2021年度募集人員、合格者数、倍率を掲載しておきます。
 【地歴公民型】335人 681人 11.7倍
 【数学型】  150人 419人 5.3倍
 【英語型】  30人  66人  3.2倍
募集人員は少ないですが、数学型、英語型の方が競争率は低めです。

●文学部・文化構想学部
一般選抜の「英語4技能テスト利用型」への出願資格となります。
詳細は以下の通りです。

2021年 早稲田大学入試要項より

上記のいづれかの試験で条件を満たしていれば出願可能です。
総点と各パートでの基準が両方存在し、すべて満たしていないといけないので注意してください。
文学部・文化構想学部は、「英語4技能テスト利用型」に出願しながら、「一般選抜(学部独自入試のみ)」と「共通テスト併用型」にも出願可能です。
なので、英語の資格試験を取得していて損はないです。

●国際教養学部
こちらは、英語外部試験が必須なわけではないのですが、20点満点で「英語4技能テスト」という項目があります。
つまり、英語外部試験のスコアがなくても受験可能ですが、「英語4技能テスト」の得点が0点になるということです。
スコアがあればそれに応じて、得点換算される仕組みです。
利用可能な外部試験は、英検(2級以上)、TOEFL iBT(42以上)、IELTS(4.0以上)です。


★特記事項★

●政治経済学部
早稲田の中では、2021年度入試の変更点が最も大きかった学部です。
共通テスト必須化、数学ⅠA必須化定員の減少(学部合計525人⇒350人)
しかし、2021年度の結果から言うと、だいぶ穴場だったと思います。
一般選抜の倍率(学部全体の平均倍率)が、
2019年度 6.6倍、2020年度 7.3倍、2021年度 3.9倍と大きく減少しました。
受験者が例年の6割程度になったためです。
普通に数学をやっていて、かつ共通テストを受けるような国公立組の併願としては非常にありがたい学部になったと思います。
逆に言えば、早稲田を第1志望にしてる人は手を出しづらい学部になってしまいました。

●文学部・文化構想学部
こちらは2022年度入試より、募集定員が減少します。
一般選抜(学部独自試験のみ)の方式で、
 文学部    2021年度 430人 ⇒ 2022年度 370人
 文化構想学部 2021年度 390人 ⇒ 2022年度 340人
その他の方式での募集定員は変わらないので、単純に一般選抜(学部独自試験のみ)の競争が激化すると思われます。
要注意です。

●公民選択不可
意外な変化ですが、社会科学部人間科学部において、一般選抜の3科目目の選択で「公民」を選択できなくなるので注意が必要です。
地歴を選択する人は「世界史」「日本史」「地理」からの選択になります。

●早稲田全体
ここ最近、受験者数を大きく減らしています。
早稲田大学が公表している、「一般選抜および大学入学共通テスト利用入学試験結果」を見ると、全学部合計の類型志願者数は、
2019年度 73,454人 (総募集定員:5,415人)
2020年度 69,548人 (総募集定員:5,415人)
2021年度 59,333人 (総募集定員:5,155人)
となっています。
安全志向、新型コロナウイルスの流行、地元志向、受験方式の変更などいくつかの要因が重なっているのでしょう。
だからと言って、早稲田が簡単になっているというわけではないです。

実際、早稲田は相当厳しい大学です。
なぜなら、早稲田を受験する際にライバルになるのは、早稲田を第1志望にしている人たちばかりではないです。
東大や一橋、東工大などの難関国公立を受験する人たちが併願するのです。
そのレベルの人たちに勝たなければ早稲田合格はありません。
本気で早稲田合格を勝ち取りたい人は、上記の情報も参考にしていただいて、いろいろな選択肢を残しつつ受験することをおすすめします。

上智大学 「共通テストorTEAPが必須」

上智大学は全学部共通で以下のような入試方式の変更を行いました。
以下の表は上智大学の公式HPより引用しております。

※1.文学部英文学科、外国語学部英語学科の選択言語は英語のみとし、ドイツ語・フランス語の大学入学共通テスト科目、および、外部検定試験結果は利用できません。
※2.外国語外部検定試験結果の提出は基本的に不要とします。ただし、CEFRレベルB2以上の検定試験結果を提出した場合、共通テストの外国語において、みなし得点として利用可能です。
※3.神学部神学科、総合人間科学部心理学科・看護学科では、全方式で面接試験を実施します。2段階での選抜とし、第1次試験合格者のみ第2次試験として面接を行い、最終合否判定を行います

一言で言うと、
「共通テスト」もしくは「TEAP」の受験が必須になりました。
従来は、「TEAP利用型」と「一般入試」の二方式でした。
それが、「TEAP利用型」、「共テ併用型」、「共テ利用型」の三方式になります。

 TEAP利用型は、TEAPのスコアと学部独自の2科目程度の試験の得点で合否を決めます。
 共テ併用型は、共テの3科目程度と学部独自の適性試験で合否を決めます。
 (この適性試験というのが、科目学習に囚われないような試験なので面白い取り組みだと思ます。大学の定期試験のような問題が多いです)
 共テ利用型は、共テの4科目程度の試験のみで合否が決まるものです。
 (文系学部でも数学が必須です)


では、これで何が変わるのでしょうか?

①上智大1志望者はTEAP受験が必須
②国公立志望者の併願にされる可能性が高まった

上記2点です。
①は当然ですね。本当に上智に行きたいなら、可能性を広げた方がいいので、TEAPを受けることをおすすめします。
TEAPは今のところは、大学受験用の英語試験という意味合いが強いですが、採用している大学は増えています。
上智以外でも、明治大学や立教大学、南山大学などいろいろな大学で利用できます。
(利用方法は各大学学部で異なるので、各自調べてみてください)

重要なのは、②の変化です。
上智は今まで、共通テストの得点のみで合否が決まる方式を採用していませんでした。
しかし、2021年度より、募集人員は少ないながらも共通テスト利用型を開始しました。
そのため、共通テストを普通に受験する国公立志望者の併願に選ばれていると思います。

参考までに、2019年度~2021年度までの
全学部合計の「募集人員」・「受験者数」・「最終合格者数」の値を表にします。

2021年募集人員受験者数最終合格者数
TEAP利用型6345,371905
共通テスト併用型98214,6382,388
共通テスト利用型1145,423458
2020年度募集人員受験者数最終合格者数
TEAP利用型4105,655759
一般入試1,36619,6662,967
2019年度募集人員受験者数最終合格者数
TEAP利用型4125,593778
一般入試1,36521,3373,196
上智大学が公表している「入学試験データ」より


TEAP利用型の募集人員が1.5倍に増えました。
なので、競争率は下がりました。
一方で、従来の一般入試が「共テ併用型」と「共テ利用型」に分かれました。
「共テ利用型」はもちろん厳しい競争になっています。文系でも数学が必須のことも考えると、この方式はやはり国公立志望者の併願が多かったと思われます。
従来の一般入試に近いのは「共テ併用型」ですが、こちらは競争率が下がっています。
学部独自の適性試験が初めてだっために敬遠した受験生が多かったのかもしれません。

上智大学の受験に、TEAPや共通テスト、学部の適性試験への対策が必要になります。

まとめ

最後は個人的なアドバイス。
私文でも数学を捨てるな!
これは大事です。

早稲田、上智に関して言えば、数学を捨てないというだけで受験の選択肢が増えます。
逆に言えば、数学を捨てたことで受験の機会すら捨てることにもなります。(早稲田政経は特に)

いずれにしても、受験直前ではなく、高1、高2の段階から、受験したい大学の方式に関しては十分に確認しておいてください。
受験で使えない科目を選択してしまったり、受験で必要な科目を捨ててしまうことになりかねません。
上記の情報が参考になれば幸いです。

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