東北大学が国際卓越研究大学の認定候補に!

こんにちは。
高校生コース講師の小谷野です。

今回は、日本の高等教育に関わる大ニュースです。

東北大学が、国際卓越研究大学の認定候補に選ばれました!
「国際卓越研究大学」ってなんかカッコいいです。
日本で1校だけ選ばれたのですが、え、なんで「東北大学!?」ってなりませんか?
最終段階まで選ばれた3校は、東京大学、京都大学、東北大学でした。
その中から東北大学が選ばれたのです。
東北大が、東大、京大に勝ったのです。
なんか面白いですね。

ということで今回は、国際卓越研究大学の制度の紹介と、東北大学のポジキャンをしていきます。

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そもそも国際卓越研究大学とは?

読んで字のごとくですが、国際的に卓越した研究ができる大学を日本にも作りたい、という内閣府と文科省の方針の元で設置される制度です。
世界に伍する研究大学となるポテンシャルのある大学を認定し、大学ファンドによる助成等、総合的に支援するという制度らしいです。
要するに、国から特定の大学に多額の補助を行い、研究を促進したいということです。
以下、概要書類からの簡単な要約。

【制度の背景】
・日本の大学の「注目度の高い論文数」が減少傾向
・研究開発費が他国に比べ増えていない
・中国やインドなどアジア地域の新興国の台頭

【国際卓越研究大学の将来像】
・世界最高水準の研究環境と人材を兼ね備える
・英語と日本語を共通言語として海外の大学と連携を強化する
・授業料免除、生活費の支援など、研究者を可能な限り援助する

研究環境を整え、若手研究者の育成にも力を注ぎ、社会課題を解決していけるような世界トップレベルの研究大学を作ろうという制度です。

そのために、10兆円規模の大学ファンドを創設し、運用益を支援に回す。
(※10兆円が払われるのではなく、運用益分が払われます)
年間の支給額は、各大学約100億円が想定されている。
段階的に、数校を認定する予定。
計画期間は最長25年。認定後も6年~10年毎に、支援継続の可否を評価する。

●計画スケジュール
2020年度(令和2年度):大学ファンド設立に向けての体制整備、法改正
2022年度(令和4年度):文科省が基本方針を策定、公募を開始
2023年度(令和5年度):対象大学の選定
2024年度(令和6年度):支援を開始

制度の中身はざっくりとこんな感じです。
国がこのような動きをしていることはご存じでしたでしょうか?
10兆円規模のファンドってすごいですよね。
これはとても重要な制度だと思います。
研究する場所としての大学を整備するという方針は非常に共感できます。
日本の大学は、学歴を得るための場所みたくなっているので……。
短期的な利益優先ではなく、中長期的な資金援助が保証された状態で、優秀な人材が結集して研究できる環境が大事です。
なので、このような取組は、日本の高等教育を発展させるうえで大きな役割を果たすと思います。
一部の大学のみを認定することに批判があるかもしれないですが、それは仕方がないかなと思います。
特定の大学を認定して研究大学として力を注ぐことで、世界にも負けない研究実績を生み出せる可能性があります。

2023年3月までに応募したのは、受付順で以下の通りです。
1早稲田大学
2名古屋大学
3東京科学大学(仮称)※国立大学法人東京医科歯科大学と国立大学法人東京工業大学による共同申請
4東京大学
5筑波大学
6東京理科大学
7京都大学
8九州大学
9東北大学
10 大阪大学

さらに、2023年6月の時点で東京大学、京都大学、東北大学の3校まで絞られていました。

そして、9月1日の発表で、東北大学が認定候補に残ったという次第です。
ただ、今回の選定で終わりというわけではありません。
あくまで初回の候補が東北大学に決まったというだけですので、来年度以降は再度他の大学を認定していくものと思われます。

どうして東北大学?

選定された理由については、以下のことが挙げられてました。
・教授を筆頭とした「講座制」と呼ばれる体制から、教員それぞれに学生や研究員などを配置して、若手や中堅の研究者がみずから挑戦できる体制に変更すること
・大学全体で財政を把握できる仕組みを整えているなど改革に取り組む姿勢を明確に示した点

一方、有識者会議は提出された計画をより具体化することも求めていて、正式な認定に向けて今後、助言などを行いながら進捗状況を確認していくそうです。

まだ正式決定ではないのですね。

ただ、東北大学が政府から求められている修正を果たせる目途が立てば、来年度から上記の研究費がもらえるということになります。
これは、東北大学がめちゃめちゃおススメ大学になるということです。
研究費がたくさん入るので、理系の基礎研究なども積極的に行わたり、若手研究者が独自の研究をしやすくなったり。
メリットがたくさんあると思います。

もともと東北大学は、「Times Higher Education(THE:タイムズ・ハイヤー・エデュケーション)」が発表する日本版の大学ランキングではここ4年連続で1位だったり、総合型選抜で募集人員の約3割の学生を集めていたりと、面白い大学なんです。
入試問題としてもスタンダードで練習になる良問が多いです。
ぜひ、東北大学が気になった人は詳しく調べてみてください。

【参考資料】
国際卓越研究大学の審査に関する資料
東北大学の入試制度の説明
THE 日本大学ランキング

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